こんにちは、黎明塾のきたです。
突然ですが、皆様この詞をご存知でしょうか?
いのち短し 恋せよ乙女
あかき唇 あせぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを
いのち短し 恋せよ乙女
いざ手をとりて かの舟に
いざ燃ゆる頬を 君が頬に
ここには誰れも 来ぬものを
いのち短し 恋せよ乙女
波にただよう 舟のよに
君が柔わ手を 我が肩に
ここには人目も 無いものを
いのち短し 恋せよ乙女
黒髪の色 褪せぬ間に
心のほのお 消えぬ間に
今日はふたたび 来ぬものを
『ゴンドラの唄』というタイトルで大正時代に発表された歌謡曲の歌詞です。
この詞が好きで、皆様にも読んでもらいたく全歌詞を載せてみました。
ここで話が終わるきたではありませんよ!(笑)
この詞は元々はルネサンスが花開いたイタリアのフィレンツェ、
時の権力者であったロレンツィオ・ディ・メディチが書いた詞が元に
なっているのでは、と言われています。
メディチと聞けば、
世界史をかじった経験のある方なら一度は聞いたことのある名。
ロレンツィオはルネサンス最盛期、銀行家として巨万の富を築き、
プラトンアカデミーを主宰し、
後にルネサンスを代表する画家、彫刻家となるボッティチェリや
ミケランジェロを思想的、経済的に支援した人物です。
ちなみに豪華王という異名も。
塩野七生さんの訳を拝借して豪華王の詞を載せます。
塩野七生さんの訳詞
青春とは なんと美しいものか
とはいえ 見る間に過ぎ去ってしまう
愉しみたい者は さあすぐに
たしかな明日は ないのだから
本当に元になっているかどうかは別にして、
15世紀を生きた方の思想に深く共感する者が私だけとは思えません。
ロレンツィオが説く人間の一生の刹那。
人間そのものに深い洞察をし、
生とは何かを考える時代だったからこそだろうか。
駆け抜けるように波乱に満ちた人生を送ったからだろうか。
この詞を読むと、
自分は人生を確かに歩めているのだろうか、
確かな今日を生きられただろうか、と考えさせられる。
人生とは選択であり、人は自由という名の選択を強いられている。
さっき読んだ本に書いてあった言葉。
今の自分にすごく重くのし掛かってくる。
あっ、病んでませんよ。これ基本スペックですから。
それではこのへんで。