
こんにちは、黎明塾のきたです。
10月から金沢大学の後期授業が始まります。
今期もいくつかの授業を受ける予定です。
早く始まらないかな、とウキウキしております(笑)
大学の前期授業では、とても面白い授業を受けることができました。
上の写真はその授業で私が作った作品です。
どんな授業かと申しますと、
キリスト教の「聖十字架物語」という物語の場面が描かれた壁画連作の8画面を切って、
絵巻物に構成し直し、
そこに詞書を加えて新たな「聖十字架物語」を作る、というものです。
(実際の壁画はイタリアの都市フィレンツェのサンタ・クローチェ教会の主祭壇を飾る
高さ20mの側壁に14世紀に描かれた壁画で、
金沢大学が壁画修復プロジェクトを2004年より5年かけて行いました。)
西洋の壁画を日本の平安時代から室町時代にかけて流行した絵巻物に置き換える、
というだけでもユニークでやりがいのありそうな感じがしてわくわくするものでしたが、
さらに、先生が出したルールは「読み手を設定する」というもの。
現代人か昔の人か、大人か子どもか、日本人か外国人か・・・など。
日本人にするか、外国人にするか、ということだけでも大分話が変わってきます。
なにせ、キリスト教信者である欧米人であればキリスト教の基本的な知識がありますから
聖十字架物語における十字架の位置づけやアダムの子孫やソロモンとシバの女王などの
登場人物にも造詣があるでしょう。
しかし、日本人であればそこまで知らないかもしれない。
そうなると、予備知識となる詞書や新たな場面が必要になるかもしれない・・・と。
てな感じで、全十数回の授業でしたが、
半分は先生による「聖十字架物語」の講義。
半分は1週間で制作し授業で発表、
批評や意見を受けて手直しし、次週また発表。
最後の授業では、他の教授や院生を招いての発表会。
う~ん、めっちゃ緊張しました。
私の作った絵巻は「ラテン語初学者のための聖十字架物語」をテーマにし、
ラテン語学習者なのでキリスト教の基礎知識を持っているという前提で、
聖十字架物語を神と悪魔の視点から紐解くという内容にしました。
この絵巻を作るにあたって、聖書の勉強をし直し、
聖書の解釈やグノーシス主義に関する文献を読み、
キリスト教における善と悪の二元論について考察。
最終的に、
善なる神と信じられているものが本当は悪なのではないか?
という懐疑を持たせる絵巻になりました。
きっとバチカンが読んだら出禁になるでしょう(笑)
ラテン語に日本語対訳をつけるという詞書にしたので
大変に時間のかかる作業になってしまったわけですが。
ラテン語を勉強したのは5年以上前のこと。
忘れた文法を思い出し、調べ、辞書引いて~~~・・・。
その労は十分報われる程、自分の中では納得できる仕上がりになりました。
またこの制作過程が楽しいのなんのって。
文献読んでいるとパッとアイディアが浮かんで、
それについて他の文献を開いて、頭の隅に常にそのことについてグルグル考えて。
授業で先生が他の院生から指摘されたことで新たな考えが広がって。
興味のあること、好きなことは楽しいもの。
それが早い段階で見出せた人は強い。
何がって、自分の選んだ道に進むための準備を早い段階からすることができるから。
「何がしたいか分からない」状態で大学に進学する人はとても多い。
そして「何がしたいか分からない」まま大学を卒業する人もとても多い。
またドロップアウトやフェードアウトする人も。
もちろん見つかっていても挫折する人もいる。
児童・生徒の夢は絶対でなくてもいい。いつか変わるかもしれない。
が、しかし、
その夢があることで実現するための道を自分で描き、
そこに向かって努力を重ねていったという事実はその後の人生の大きな糧となる。
自分は何が好きなのか、自分は何に興味があるのか。
常に自分の意識の方向がどこなのかアンテナをはっておけばきっと、
キャッチした情報が新たな展開を各々の人生にもたらしてくれることになるだろう。
ちなみに、絵巻が見たい方はどうぞ。
塾に置いてあります。
それでは、このへんで。